肉体がないことを受け入れたら?
「死神。次は何が起こるの?」
私はおそるおそる死神に聞いてみた。
『次のステップは、この人生のフィードバックやな!振り返りをしてもらわなアカンねん。ほんで、さっきから気になってんねんけど、さん付けやめたん?』
「フィードバック?」
『聞いてへんのかい!!まぁええわ。今から人生の振り返りや!準備はええか?』
「いやっちょっ、、」
『ええみたいやな!ほな行こか!』
「いやいや嫌な予感しかない!ちょっと待って!」
完全に死神のペースで進んでいく。
肉体が無いことは受け入れたが、まだまだ死後の世界が想像と違いすぎてついていけていない!そう思った瞬間、
『おかえりー』
『お疲れ様ー』
『もうちょっと頑張れんと違うー?』
ちょうど1クラスくらいだろうか?私に向かって話しかける人、手を振る人、私は自然とその中に飲まれていった。
「あれ?死神?」
『次の仕事があるから、行くわ!』
ジャっと軽く手を上げた。
「え?死神!なんっ、、、それで、、急いでた、、、の、、、、か、、、、」
私の声は揉み消され私はグループに完全に飲み込まれた。
どうやら今、みんなは私の人生についての意見交換をしているようだ。
「あの、ここは?」
『ここは一つのチームなんだ。今回の君の人生を振り返って次のテーマを決めるんだ。ちなみに僕は今回の君の守護霊役だったんだよ。あそこの彼は今回、君の初恋の役、覚えてる?前の前の回では夫役だったんだよ』
「あ、ゆうくん。え?守護霊?え?夫?」
『うん僕は守護霊。中学校3年の時交差点で交通事故にあった時、助けたのは僕だよ』
そういえばと骨折をしたことを思い出した。
「あれ結構な怪我をしたんだけど、カスリ傷くらいにとか出来なかったの?」
『あ~っそれね!それ設定だから、今回は骨折してみたいな?みたいな』
「みたいなじゃないよ!大変だったんだから!」
『あれは、家族の愛を実感したいと思っていたからさぁ。不便な時、たくさん助けてもらえて幸せだったじゃん』
「う〜ん。確かに・・」
色々なことが思い出され恥ずかしくなった。
『それでは皆さま、今から上映会をはじめます!』
元守護霊が仕切り始めた。
「ちょっと、上映って何?」
『君が生まれた時からエンドロールまで見て、次を決めるのさ!』
「!!!!!!!!」
『さぁ君が生まれるよ!』
「やめてええええええええええっ」
オギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
声はむなしく、赤ちゃんの産声に変わった。
【意識がむかう先の世界】
エネルギー体に戻った意識は1つのグループに戻ります。
1つのコップのからあふれた水が、再び1つのコップに戻る感じです。
この1グループに戻ると人生の振り返りが待っています。自身がどんなに嫌がろうともこれから逃れることはできません。よく死に際に「人生が走馬灯のように」と言われる、あんな感じで今までの人生を振り返るのです。
怖いことにこの映像は編集もモザイクもありませんので、そのまま流れることになります。
これを「地獄」と人はいいます。
「地獄」を体験した私は、死んでいるのに再び瀕死です。
「もういや、私の人生ほんとにつまらない!」
『そうゆう設定だからね!』
「何なのよ・・・設定って、だいたいこれを見て何の役に立つの?」
『まぁまぁ。それでは皆さま、第二部の上映をはじめます!第二部は他者から見た自分をでございます!』
元守護霊がまた仕切り出す。
「ちょっと何?他者からの自分って?」
『次は君に関わった全ての生命の意識に入って、自分を振り返るんだよ?』
「はい?何を言ってるか、よくわかりませんが?」
『見たらわかるよ!』
「あ、これ嫌な予感しかないやつ!!!もう、やめてぇぇぇぇぇぇっ」
「第1の地獄」と「第2の地獄」
自分の人生を振り返ることが「第1の地獄」としたら、他者から見た自分の振り返りは「第2の地獄」と言われています。
人生の振り返りはとても入念に行われます。なぜなら次のストーリーを決めるための重要な材料になるからです。
「第2の地獄」は「他者から見た自分」今回の人生に関わった全ての生命の中に入り、その時々の自分と対峙します。この時に相手が思ったことは全て共有することができます。
大好きだったあの子の本音や、気になっていた事の真相など全てが明らかになります。
たくさんの人と出会っている人はとても長い長い振り返りになるでしょう。この振り返りには亡くなった方も含むようです。
長い長い上映会も終わり、私は死んでいるのに死んでしまいたい気持ちになっていた。
「こんな地獄が待っているなら早く教えてほしかったよ。知っていたらもっとちゃんと生きたのに!」
『いやいやこれも設定だからさぁ』
「他者の頭の中に入った時に気づいたんだけど、あれは私がこうしていれば誤解なく進めたし、傷つけなくてもよかったのに・・・・て」
今更だけど、後悔した。
『大まかな設定しかしてないから、この辺はどう転んでもいいようになっていたんだよね。今回はこんな関係性になったけど違う結末もあったんだよ』
「細かくは設定されていないの?」
「うん。彼と結婚しなくても、次の結婚相手はいたし、ただ結婚するってことだけは設定してしていたんだよ」
「そうなんだ、、、はぁ、、」
自分にとっても長い長い反省会である。自分の人生だけど自分の人生でないようなぼんやりとした気持ち。
「その上でさぁ。君は人生をもう一回やりたい?」
元守護霊が聞いた。
「いや、ちょっと、本当の事言うと、休みたい・・」
『そっか、じゃあ次やってみたいって言っていた彼女にしようか?賛成の方は挙手お願いします!あっちなみに僕はまた守護霊やりたいんだけど・・・・・・うんうん。』
放心状態の私を置いて話が進んでゆく。
そうこうしているうちに、国籍、性別、家族構成、恋人役、友達役、ペット役、その他もろもろが決められていく。
「この生まれ変わりって、何の意味があるの?」
『君はさっきまで肉体を持っていたからわからないだろけど、みんな肉体を持って体験したいんだよ。さっきの上映会を見たように、僕たちは見ることしか出来ないんだ。喜びや楽しいことを体験したくて生まれるんだ』
「体験?」
『そう、生まれ変わった時にね、人生の課題(テーマ)を決めていくんだ。今回の人生のテーマはこれ!ってね。その課題に近づくと喜びを感じ、課題から外れるとネガティヴな感情になるようになっているんだ。今回も・・』
「何?気になるんだけど」
『今回、日本人設定だからもあるんだろうけど、何するにも(ちゃんとちゃんと)って、本来の設定から離れている時間が多くて少し辛かったね。設定の難しさを感じたよ』
「・・・・確かに、自分の人生というより他人に合わせる人生だったかも、いつも比べては落ち込んでいたな・・・」
『だから次は、ここを工夫したらいいとか新しい発見があったよ。ありがとう!』
「・・うん。良かった・・」
『でさぁ、話は変わるけど、次の彼女。ハードモード希望なんだよね』
細かな設定を組んでいる様子を元守護霊が指さす。
「ハードモード?」
『うん。結構追い込まれたいみたい』
ホワイトボードに関係図や大まかなストーリー、設定が書き出されている。
「怖い怖すぎるんですけど・・・」
『うん。すんごいハードなプリティーウーマンやりたいらしいよ?』
「あの設定、リチャード・ギアと出会う前に終わらない?」
『そうだね、守護霊としてはリチャード・ギアに会ってもらいたいからやりがいはあるね!』
「嘘でしょ?あの設定でどう守るの?・・・」
『彼女、前の時は即身成仏を目指していたから、いけるかもしれないね。今回は!』
「え?即身成仏?前回がどうなったか気になるんだけど〜」
【人生の課題】
人生の課題・テーマを持って生まれ変わりは行われます。
人生の課題に近づくと人は喜びを感じ、課題から離れるとネガティヴな感情が生まれます。
「課題=人生の目的地・役割」
人生の目的地(または役割)にたどり着くためには、自分の喜びを選んで生きてゆくことです。
ここで早く人生の目的地(または役割)を見つけた方が後でゆっくりできると思う方もいるかもしれませんが、その考えは後悔の残る人生になることも多いようです。終わりの日を迎えたその時、何を一番悔やむでしょうか?それは、やらなかった後悔と言われています。
私たちは楽しむために、体験するために生まれてきます。目的地(または役割)を見つけることよりも多くの喜びを感じることで自然と目的地や役割が分かってくるのかもしれません。
今回はゆっくり生きる、平穏な生活、ハードモード、イージーモード、サバイバー、私たちはさまざまな課題を決めて生まれてきます。課題と違うことをしている時は落ち着かない感じやネガティヴな感情になるそうです。
【人生の課題・テーマは自分を生きることのサイン】
・「やっとかないと!」思えるテーマ。
・「これはやめられない」と思うほど夢中になれること。
・喜びを感じること。
・時間を忘れて夢中になれること。
上記の感情は自分の人生を生きている時です。